コンサルタントとして、IPOやM&Aを担当する部署に所属し、多くの企業のデューデリジェンス(以下「DD」という。)を担当していました。当時、働き方改革に伴う法改正が頻発していたこともあって、M&Aでは未払い賃金による簿外債務の懸念や労務環境の情報拡散等による労務リスクが注目されており、IPOの労務基準のハードルが上がり始めていました。そこで私は、労務コンサルタントとして、実際にIPO直前々期〜直前期の企業に対し労務DDを実施しました。
年間約50社のDDを経験していく中で、2点の気づきを得ることができました。1点目は、質問内容と報告書の記載事項がある程度定型化されていること。2点目は、報告会実施後、多くの会社から「もっと早くやっておけばよかった」「この機会に問題を洗い出せてよかった」「結構時間と費用がかかるものなんですね」という言葉を頂いたことです。そこで私は、DDをシステム化し、より多くの企業に、より早く、より安く、より気軽に実施して、より多くの企業の成長を支援したいと強く考え、これまでのDDノウハウを全て注ぎ込んだクラウドデューデリジェンス®システム「サキレポ」を制作致しました。
従来のDDは、人と人とが対面で行うものであり、その内容は企業ごとに異なるため、リスクレベルのロジック化やコメントの定型化は困難を極めましたが、質問内容や報告書の記載事項、構成を工夫することで、従来の対面式DDの品質と変わらないシステムの実現に成功しました。IPOやM&Aを行う企業はより早くより安くDDを実施でき、それ以外の企業にはDDを身近に感じてもらうことで自社の健康状態を徹底的に見直し、企業の健全な発展と労使の良好な関係構築の実現を支援することができると確信しております。