【注意】NTT東日本事件から見る-違法な転勤命令って?

今回は、転勤命令ついてみていきましょう

転勤命令とは、会社側の権利の一つで、個別の同意なく命じることができ、従業員がこれを拒否した場合は懲戒などの罰則に処しても問題ないとされています(東亜ペイント事件 最高裁 昭和61年7月14日判決)。

しかし、会社としての権利である転勤命令も、少し方法を間違えれば違法とみなされ、会社に対して罰則が下ることがあります。

実際に、「違法な転勤命令」と判断された実例をみていきましょう。

NTT東日本事件

(札幌高裁 平成21年3月26日判決)

【主張】

転勤命令が違法であるととして、A〜Eさんの5名の従業員が各転勤命令によって発生した精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを求めた。

【経緯】

・N社は「3ヶ年経営計画」を策定し、これに基づいて業務形態の見直しを行ない、一部業務を新設する子会社へ外注委託した。

・業務形態変更に伴い、約1年間で2度の転居を伴う転勤命令が出された。

【判決】

訴えを起こした5名の従業員のうちEさん1名に対し、慰謝料の支払いを命じた。

【なぜ会社は負けたのか?】

❌Eさんの両親はEさんによる介護が不可欠であるにもかかわらず、転勤によりこれができなくなってしまう。

 ➡︎不利益の程度が、従業員が甘受すべき程度を著しく超えていると判断

❌別の従業員ではなく、あえて転勤による不利益が一番大きなEさんに対し遠隔地への転勤を命令。

 ➡︎業務上の必要は認められるものの、転居が伴う転勤が不可欠であったとまでは認められないと判断

総括として、

「会社が転勤によって従業員に生じる不利益と業務上の必要性の十分な検討を怠り、別の従業員転勤の可能性、代替措置を検討しなかった」

と指摘されています。

【会社はどうすればよかったのか?】

⭕️家族や本人が病気の治療中か、育児介護に支障が出るかなどに注意する

⭕️転勤命令と従業員が受ける不利益の程度をよく検討し、別の従業員が転勤可能か否かなどの代替措置を用意する

 以上のように、転勤命令を行う際は従業員ごとの個別事情に照らし合わせ、慎重に検討を重ねる必要があります。

また、「本当にこの人を転勤される必要があるのか?」「遠隔地への転勤なら別の従業員でもいいいのではないか?」など、代替措置が重要になります。

以下、ご参考までに「転勤命令が無効になる場合」の要件を載せておきますので、ぜひ一度ご確認ください。


①業務上の必要性が存在しない場合

②業務上の必要性が存在しても、不当な動機、目的でなされた場合

③業務上の必要性が存在しても、労働者が甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものである場合

by 最高裁(東亜ペイント事件 昭和61年7月14日)


ポイントは、

「業務上の必要性が存在しても」認められない場合がある

ということです。

できれば、転勤命令をする際ではなく、

入社時に丁寧なヒアリングを行い

従業員の事情を把握して無駄な手間を発生させずに、会社も従業員も気持ちよく転勤できる環境を最初から整えておくことをお勧めします。

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